2010年10月26日火曜日

国会図書館1

 今日久しぶりに編集室に顔を出したら、髪の青くなったブロンドがいた。長い間会っていなかった。俺は例の「バラ色の街角に消えた女」の不毛な捜査に追われていたし、ブロンドも最近までダージリン襲撃事件にかかりっきりだったからだ(ホシをあげたのはブロンドのお手柄である。ちなみにホシはあのジャンゴだった)。

 俺は資料を集めに国会図書館に行かなければならなかった。しばらく雑談した後で俺が席を立つと、ブロンドも時計をちらっと見て立ち上がった。「どっか行くのか?」と聞いたら、何と国会図書館に行くのだという。妙なめぐり合わせに驚く俺に、ブロンドは「何で髪を青くしたのか忘れてしまってね。国会図書館の遺失物係に理由を聞きに行くんだ」とぼそっと言った。

 外に出ると、空は暗くて、秋の雨が霧を撒くように降っていた。二人とも傘を持っていなかった。雨の本郷通りを駅まで歩いた。人通りが多かったから走りようもなかったが、そもそも走って避けるほどの雨でもなかった。まつ毛に溜まった水滴が頬を伝って流れ落ちた。湿っぽいメトロの階段を下りたら、ちょうど列車がホームに到着したところだった。飛び乗ると同時に、後ろでドアが閉まった。いつもより明るく見える白熱灯を反射して、雨に濡れたブロンドの髪が青く光った。

 国会図書館の方へ、列車は地下トンネルを進んでいった。 

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