2010年8月15日日曜日

Gone, Baby, Gone

 ある日バルドス探偵事務所を一人の中年の女性が訪ねてくる。彼女は町を騒然とさせている幼女誘拐事件の被害者の伯母だった。姪を見つけ出してほしい、と彼女はバルドスに頼む。警察は信頼できないから、独自に探偵を雇うことにしたのだという。力に余る事件であることは明らかだったが、必死の態度に心を打たれたバルドスは依頼を聞き入れる。

 バルドスは、アンダーグラウンドに詳しい相棒のカワギシエフスキーとともに被害者の家庭の周辺を洗い出していく。はじめは反目し合っていた担当刑事のレミーとの間にも、いつしか友情が芽生えていく。

 捜査の過程で浮かび上がってきたのは、被害者の家庭の乱脈な生活ぶりだった。母親はコカイン中毒で、麻薬の運び屋をしていたこともあった。これは組織の内紛が引き起こした事件なのだろうか。

 だが事件は思いがけない展開を見せる。バルドスは暗い予感に導かれるようにして恐るべき真実にたどりつく。すべてを知ったバルドスは、あまりにも重い選択を突きつけられることになる…。

 『ゴーン・ベイビー・ゴーン』。デニス・ルヘイン『愛しきものはすべて去りゆく』を、これが初監督作となる俳優のベン・アフレックが映画化したものである。脚本も書いたアフレックは、手堅く、隙のない演出で質の高い映画を生みだした。主人公を演じるケイシー・アフレック、レミー役のエド・ハリス、被害者の母親役のエイミー・ライアン、みな素晴らしい演技を見せる。また、物語の舞台であり、映画のロケ地ともなったボストンの町の住民が、多数出演しているが、彼らの自然な存在感が映画の雰囲気を盛り上げている。なかなか見ごたえある映画だった。

 

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