カワギシエフスキーは語り終えた。異国の奇怪な果物を食べた気分だった。奇妙な、だが決して不快ではない後味をゆっくりと消化するように、みなはしばらく黙り込んでいた。そのとき、カウンター席にいた黒いドレスの女が、グラスを片手にふらつく足取りで、セラピオン兄弟のテーブルに歩み寄ってきた。半ば入ったままのグラスを投げ出すようにテーブルに置くと、女は言った。
「ねえ、あたしも仲間に入れてよお。あたしね、さっきまで泣いてたんだけど、あんたの話聞いてたら泣きやんじゃったわよお。」
カワギシエフスキーを見つめる眼差しは、どこか遠くを見ているかのように頼りなげだったが、涙にぬれた血走った眼の奥には、人を惹きつけずにはおかない光があった。語り終えたばかりの高揚とした気分の中で、カワギシエフスキーが言った。
「どうぞどうぞ、こちらにお座りなさい、アハハハ」
女はソーニャと名乗った。こうしてセラピオン兄弟は思いがけない仲間を迎え入れた。簡単な自己紹介の後で、ソーニャが隣に座っているツボノヴィッチに言った。
「ケイシー、次はあんたが話してよ、あたしの優しい人」
ツボノヴィッチは唐突なリクエストに温かい笑顔で答えた。ビールでのどを潤した後、彼は語り始めた。
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