「マロニエ通りを行く人は、みな華やかに見える。僕らもきっと例外ではない。季節は若く、僕らも若かった。」
という昔読んだ感傷的なフランスの小説の冒頭を思い出しながら、ミーチャは同じ名前の通りを亜麻色の髪の女の子と並んで歩いていた。だが心ない、とはいえ何の罪もない彼女の一言のせいで、そんな甘やかな気分も消えてしまった。
今ミーチャはレールモントフの詩を繰り返し口ずさんでいる。
「空しく、味気なく、悲運のときに手を伸べる人もなく。希望よ! 甲斐もなく望み続けることに何の意味があろう。月日は流れすぎて行くのだ。すべての美しい日々は。」
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